ITコンサルの日常

ITコンサル会社に勤務する普通のITエンジニアの日常です。

「自助論」読了

自助論

自助論

聞いたことのない本だったのですが、「私塾のすすめ」で引用されていたので、読んでみることに。
明治時代には「西国立志伝」というタイトルで翻訳されて読まれたそうです。


さて読み終わった感想ですが、粘り強くがんばった人が報われたこと、また逆にがんばれなかった人が報われないこと、この具体例で埋め尽くされていると言ってよいでしょう。
結局のところ「自助」っていうのは、訳者のことば(p267)にあるように

勤勉に働いて、自分で自分の運命を切り拓くことである。

ということ。この「勤勉」がキーワード中のキーワード。
本書中にも「自助」の考え方について色々解説されているので紹介します。

p13 政治とは、国民の考えや行動の反映にすぎない。どんなに高い理想を掲げても国民がそれについていけなければ、政治は国民のレベルにまで引き下げられる。

学問のすすめ」にも似たような論調があったと思うのですが、結局「政治とは、国民の考えや行動の反映にすぎない。」なのですね。
悪政(後期高齢者医療制度とか?)も、結局は国民が選んだ人達が選んだ政策なので、選んだ国民にも責任が無いとは言えないですね。
なにはともあれ、選挙での一票は重要ってことです。

p16 それほどの力を持たず名も知られていない多くの人たちでさえ、社会の進歩には重要な役割を果たしている。

僕みたいな普通の人にとっては非常に勇気付けられる言葉です。
なにかしら「社会の進歩」に「重要な役割を果たして」行きたいですね。

p29 どんなに高尚な学問を追究する際にも、常識や集中力、勤勉、忍耐のような平凡な資質がいちばん役に立つ。

この辺がまさに「自助論」的なところですが、平凡な人でも努力さえすれば、高尚な学問を身に付けられるということでしょう。「言うは易し、行うは難し」でしょうが。自己満足が最大の敵になりそうですね。

p79 「なんとしても金持ちになりたいという願いを捨てないかぎり、芸術家としては一生うだつが上がらないだろう」

ミケランジェロの言葉だそうですが、
芸術家のところを、プログラマとか他の言葉に置き換えても成り立つような気がします。
だから仕事を選ぶときは、報酬よりも内容重視なのですよね。

p88 諸君が天性の才能に恵まれているなら、勤勉がそれをさらに高めるだろう。もし恵まれていないとしても、勤勉がそれに取って変わるだろう

またしても自助論的な言葉ですが、いずれにしても勤勉にしろということです。
僕も含め、普通の人は「天性の才能」になんか恵まれていないわけだから、余計勤勉にしないといけないわけですね。

p115 読み始めたら必ず読み通せ

p115 中味を完全にマスターするまでは、その本を読破したなどと考えるな

p115 精神を集中させて、あらゆることがらを学べ

読書についての格言。
ただし、このように読むべき本かどうかは、点検読書して調べるべきでしょう。

p120 最短の近道はたいていの場合、いちばん悪い道だ。だから最善の道を通りたければ、多少なりとも回り道をしなくてはならない

これ、ピアノの先生も同じようなことを言っていて、最初の内はすらすら弾けてしまう子供ほど、後で難しくなって躓いた時にそれを乗り越える力が無く、やめてしまったりするそうです。
天才はそれでも大丈夫なのでしょうけど、平凡な人は多少遠回りでも地道にやるのが一番のようです。

p130 ぜひともやっておきたい仕事は自分で果たし、どうでもよい仕事を他人にまかせるべき

マネージャ教本とかに載ってそうな言葉ですね。
その区分けが難しいところですが、案外出来そうにないことも、任せてみると出来たりして驚くこともあります。もちろん、出来なかったときはフォローする必要がありますが。

p161 「貧すれば鈍す」

どういう意味なのだろうと思って探してみました。
http://www.cmrc.co.jp/blog/2007/11/

「貧すれば鈍す」とは貧乏すると全てに鈍感になるという意味らしい。

おお、そういう意味なのか。
とにかく借金は怖いです。。

p169 お金にまつわることわざ色々

何度も書きますが、ことわざは人生における定理なので、重要なのです。

  • 「小銭に気をくばれば大金はおのずと貯まる」
  • 「勤勉は幸運の母」
  • 「苦労なければ益もなし」
  • 「楽をするには汗をかけ」
  • 「働き者に福がくる」
  • 「浮世はがまんと努力しだい」
  • 「借金背負って起きるより、晩めし抜きで寝たほうがまし」

一番最後のやつなんか、結構壮絶な感じですが、とにかく色々あるものですね。

p176 富は、行動を刺激するよりむしろ行動を妨げる。

望むものが何でも手に入るため、かえって生活にあきあきしはじめる。

こがねもち注意!

p206 逆境の中で耐えるより幸運の中で耐えるほうが、はるかに強い自制心を必要とする。

これも上に同じです。
なんか「チーズはどこへ消えた?」を思い出すなあ。

p229 伝記が役に立つのは、立派な人格の手本が豊富に盛り込まれているためだ。

やっぱりそうなんですよね。
ロールモデルを探すには、伝記いいかも。
さて、どこに入り口があるだろうか。

p248 古い習慣を根だやしにするのは、歯を抜くよりはるかに厄介で、しかもいっそうの苦痛を伴う場合が多い。

身近な例で言えば、我流で何かを覚えるよりも、最初から先生に習った方が早いみたいな。
ヘンなクセが付くと、抜けない上に高度には対応出来なかったりするんですよね。
あと、最近ソフトウェア業界に関して、古い習慣に対する批判みたいなブログエントリがいくつかありましたが、こういう前提があるとすると、やっぱり時間が解決するということもあるのでしょうね。

まとめ

これを読んで耳が痛くなる人も結構いるかと思いますが(そういう人は、そもそもこんな本読んでない?)、僕はわりと素直に受け取れました。方向性は間違ってないかなと。
書いてて思ったのですが、習い事って「自助」力を鍛えるのには結構いいかも。