ITコンサルの日常

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「砂の女」読了

砂の女 (新潮文庫)

砂の女 (新潮文庫)

えー、これはひどいです。
レベルが低いという意味ではなくて、ストーリそのもの、とか、主人公が陥る境遇とかそういったものです。
ミステリィっぽくなっていたので、大変読みやすかったです。勢い一晩で読んでしましました。


物語は、一人の男が失踪するところから始まります。
その男は昆虫採集が趣味で、いつか新種を発見して自分の名を残したいと考え、
ある部落まで出かけていくのですが、
そこで砂の穴に埋もれていく一軒家に閉じ込められてしまうのです。


なんでそんなことになったかといえば、
その家には女が一人住んでいるのですが、
常に砂を掻いていないと、埋もれてしまうような家で、
砂を掻く人手が足りないから、という理不尽な理由だったりします。
あーもう、息苦しいなあと思いつつ先を読んでみます。


当然のごとく、男はあらゆる手を尽くして脱出を試みるわけですが、
ことごとく失敗。逆に水や食糧は届けてもらわないといけないのですが、
脱出を図る男にはこれが与えられず、逆に乾き死にの危機に瀕し、
やむなく部落に従うことに。


これはもう終わったなと思ったところで、
意外な展開が待っているわけですが、まあ読んでのお楽しみということで(汗


印象的だったのは、男が穴の外の今までの生活を思い浮かべるシーンで、
実は一つも良い思い出が無いのですよね。
むしろ、穴の中での女との生活の方が良かったりして、
「今のあなたの生活と、この砂の穴の生活とどっちがいいか」
と聞かれているような気がしました。
実は大して変わらないんじゃないのと。


砂の穴生活のような異常な状況にはならないでしょうが、
少し普段の喧騒とは離れて、
自分の生活を見直してみてみるのも良いでしょうね。


あともう一つ失踪してから7年経つと、
死亡扱いに出来るんですね。
いやまあ、そんな可能性まずないですが、
純粋に知識としては面白いかなあと思いました。
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