ITコンサルの日常

ITコンサル会社に勤務する普通のITエンジニアの日常です。

「かもめ・ワーニャ伯父さん」読了

かもめ・ワーニャ伯父さん (新潮文庫)

かもめ・ワーニャ伯父さん (新潮文庫)

いわゆる戯曲というジャンルの本。
戯曲ってのは初めて読みましたが、普通の小説とは違ってて新鮮でした。
台本と似ているような気がするのですが、類似性と相違については戯曲 - Wikipediaに書いてありますね。


ただ相変わらずとっつきにくいのがロシア系の名前。
なんでこんなに覚えづらいのだろう。。
「かもめ」と「ワーニャ伯父さん」の2つの物語が収められているのですが、どちらも40ページくらい読み進まないと把握できませんでした。登場人物一覧も載ってるんですが、うーん、僕の理解力が悪いからなのかなあ。


個々の作品について言うと、
「かもめ」の方が恋愛を中心とした物語で、仕事で成功したにもかかわらず、恋愛で敗れてしまったために自殺をしてしまうというのが印象的でした。
「ワーニャ伯父さん」の方は、黙々と努力したにもかかわらず、不遇の人生を送ってきた中年男性のお話なのですが、不遇だと言っても淡々と努力するより他にないといったようなメッセージが印象的でした。


個別のセリフで印象的だったのは、いずれも「ワーニャ伯父さん」より、

ところが百姓連中ときたら、じつに単調で、無知蒙昧で、不潔きわまる暮しをしているし、インテリ連中はどうかというと、これまた、どうも反りが合わない。頭が痛くなるんですよ。つきあい仲間のインテリ連中は、誰も彼も、料簡(了見?)は狭いし、感じ方は浅いし、目さきのことしか何もみえない――つまり、どだいもうばかなんです。一方、少しは利口で骨のある手合いは、ヒステリーで、分析きちがいで、反省反省で骨身をけずられています。……そうした手合いは、愚痴をこぼす、人間嫌いを標榜する、病的なほど人の悪口をいう、人に近づくにも横合いから寄っていって、じろりと横目で睨んで「ああ、こいつは気ちがいだよ」とか、「こいつは法螺吹きだよ」とか決めてしまう。相手の額に、どんなレッテルを貼っていいかわからなくなると、「こいつは妙なやつだ」と言う。私が森が好きならこれも変てこ。私が肉を食べないと、これもやっぱり変てこ。いや、今日ではもう、自然や人間に向って、じかに、純粋に、自由に接しようとする態度なんか、薬にしたくもありはしません。……あるものですか!

肝心なのは、有能だということなのよ! この有能だというのが、どういうことだか、あんた知ってて? 何ものをも怖れない勇気、何ものにも捉われない頭の働き、こせこせしない遠大な物の見かた……だわ。

前者は教訓を、後者は有能の定義を与えてくれているわけですが、なかなかこういったことを教えてくれる人はいないので、貴重だなあと思いました。


(追記)
初のチェーホフ戯曲「挑むことが勉強」 舞台「かもめ」 藤原竜也さんインタビュー (1/4ページ) - MSN産経ニュース
ごく最近やったのですね。見たかったなあ。
あと、探したらNHK(BSアナログ)でも昔やってたらしい。再放送してほしいなあ。


(さらに追記)
もうちょっと探したら、これからやりそうな舞台も見つかりました。
http://www.miyazaki-ac.jp/moyooshi/2008/1128.htm
http://geibun.info/syusai/index5.html
場所が、、しかも金曜日の夜じゃいけないわ。。旅がてら行ってみたり?
あと、こんなのも見つけました。お薦めステージ紹介ポータル「CoRich舞台芸術!」beta版