「日本語の年輪」読了
- 作者: 大野晋
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1966/05/12
- メディア: 文庫
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個人的に面白かったのは、以下の部分。
ところで、この「いつくし」という観念は、比較的早く亡びて分らなくなり、イツクシという言葉の形だけ記憶されて、無内容になっていた。ちょうどそのころ、「うつくし」が肉親的な愛情から、可憐さに対する愛情を表すようにと移ったために、寵愛する、慈愛をたれる意味の「うつくしむ」という言葉が、理解されにくくなり、ウの音に近いイの音へと移って、ウツクシム→イツクシムという変化が起きた。その結果イツクシムという言葉が生まれ、慈愛の心を持つ意味を表すようになって来た。
言葉って、意味があって、それから発音とか表記とかが付いてくるものだと思っていたのですが、
上の説明だと、逆のような印象を受けますね。
観念が亡びて、無内容になったというところも面白いですが。
現代にも、そういうものってあるのかも。
日本の歴史に沿った、言葉の発展についても書かれているので、
日本語の歴史に興味がある方にはおすすめかもです。