「魔の山」読了
- 作者: トーマス・マン,高橋義孝
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1200ページ超にも及ぶ物語なんですが、ストーリー自体は至極シンプルな気がします。
なんでこんなに長くなっているかというと、途中ハンス・カストルプに影響を及ぼす人物、
とりわけ、いとこのヨーアヒム、セテムブリーニ、ナフタなどの
思想を論議しだしたら止まらない人たちがいるからだと思います。
これまで読んできた本の中でも色々引用されていますが、僕は「時間」に関する見方が面白いかなあと思いました。
「時間にはね、決して『実際は』というようなことはないんだ。長いと感ずるんなら長いんだし、短いと感ずるんなら短い。それが実際にはどれくらい長いのか、または短いのか、そんなことは誰にもわからないじゃないか」
中世の学者たちは、時間というものは錯覚であって、時間が因果関係という形で連続的に経過するように思われるのは、私たちの感覚のある種の仕組みのもたらす結果にすぎず、事物の真の姿は不動の現在だと説いた。こういう考えを最初にいだいた学者は、永遠のかすかな苦味を唇に味わいながら海辺を散歩したひとではなかったであろうか。
時間の概念は、子供の頃から教え込まれている常識だし、社会人になってからも「時間はお金より大事」なんて言われたりするものだったりする。
上の文は、それを疑う姿勢を見せているように読めるのですが、なかなか常識を疑うということをしてないなあと思いました。
量が多いので、読みきるのは大変ですが、宝(金言、名言の類)探しと思えば読めるのではないでしょうか。