ITコンサルの日常

ITコンサル会社に勤務する普通のITエンジニアの日常です。

「「できる人」で終わる人、「伸ばす人」に変わる人」読了

「できる人」で終わる人、「伸ばす人」に変わる人

「できる人」で終わる人、「伸ばす人」に変わる人

「できない人」から「できる人」への変化は、解説編の最初の方に書いてある、新人営業マンのA君の例が分かりやすかったです。

ビギナー

 大卒で入社したばかりのA君は、まだ右も左もわからない状況ですが、将来の「できる男」を目指して目を輝かせています。こんなA君の状況を、意欲的だけど知識・技能はない『ビギナー』と位置づけます。
 (中略)
 こうしたビギナー状況に対しては、「伸ばす人」の対応は原則的にプッシュ型の行動が中心となります。相手が適切な行動の第一歩を踏み出すには、そのために必要な知識・技能を提供してあげる必要があるからです。

チャレンジャー

 さて新人営業マンのA君は、先輩の実地指導を受けながら少しずつ仕事を覚え始めています。しかし、このところ入社当初の元気がありません。想像していたよりも商品知識を頭に入れるのが大変で、周囲に自分よりも高く評価されていると思える同期が何名かいて、それなりにできるだろうと思っていた自信がぐらついているのです。
 (中略)
 これはまさに、自分に訪れた最初の壁を超えられるか否かを決める『チャレンジャー』の状況です。
 (中略)
 この時期は、相手が自律的に取り組む状況をつくれるか否かの分かれ道です。足りない知識を補ったり、明確な方針を示すようなプッシュ行動を続けながら、気持ちを引き出して行くプル型行動を織りまぜて対話をします。

ステッパー

 上司のW課長から実地指導を受けたA君は、時間管理のコツを覚えて仕事のペースをつかみ始めました。そうすると入社当初の血気盛んさがよみがえり、”できる同期”に対しても引けをとらない自分を感じるようになってきました。
 そうしているうちにW課長から、異動になった先輩が担当していたエリアを任せるとのメッセージが。一瞬大喜びしたA君ですが、しばらく経って冷静に考えると、富裕層の多い地域を担当することが自分にできるのかと、脳裏に不安がよぎります。
 (中略)
 そこでこの段階では、足りない知識・技能を補うプッシュ型の行動よりも、すでに身につけた知識・技能をリソースとして、さらに全身していけるようにエンパワーメント(権限委譲)していくプル型の行動を中心にします。「伸ばす人」は、相手に抱いていた初期のイメージを変えて、より強く自律を促していきます。

パフォーマー

 W課長の支援を受けたA君は、それから次第に自信を持って日々の仕事に取り組めるようになってきました。今までW課長とマンツーマンで業務報告を兼ねた対話をしてきましたが、来月からは通常のチームミーティングだけでOKということになりました。
 もちろん課長からは本社決定に沿った部門方針が出され、それに沿ってエリアでの活動方針が伝えられます。しかしこの業務については、”自律した状況にある”と見なされたA君は、自分で日々の計画を立てながら仕事に取り組んでいます。
 (中略)
 このような状況に達したら、「伸ばす人」は関与することが少なくなります。むしろ「できる人」になった相手に対して、関与しすぎることは相手が操作されている印象を持ち、逆効果となりやすいので注意が必要です。

例えば、自分は担当しているシステムについて、プログラマとしてはパフォーマーだけれども、マネージャとしてはまだまだチャレンジャーだな。とか容易に想像できると思います。


じゃあ、「できない人」から「できる人」への変化を助けるために、「伸ばす人」は何をすべきかというところなのですが、
これは帯にも書いてある「四つの対話」というのが方法として解説されています。

視点を変える対話

「えっ、無理だって? それじゃあ、もし仮に無理じゃないとしたら、どうする?」etc.

行動を促す対話

「この仕事が終わってから飲むビールの味ってどんなだろうね?」etc.

進捗を管理する対話

「ダメだって言うけど、そのダメなことの中に、もしもうまくいっていることがあるとすると何かな?」etc.

次のゴールを描く対話

「厳しい状況の中の目標達成も嬉しいけど、〇〇さんが中心になってやってくれたことがもっと嬉しいよ!」etc.

なんとなく、それぞれの対話がそれぞれのステップに対応してそうです。
こうした枠組みを意識するだけでも、「伸ばす人」を目指すのにも、「できる人」を目指すのにも、
随分違うのではないかと思いました。
四つの対話に対する、具体的なテクニックは本書の中にたくさん書かれていますので、読んでみると良いと思います。