ITコンサルの日常

ITコンサル会社に勤務する普通のITエンジニアの日常です。

「わかったつもり 読解力がつかない本当の原因」読了

わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 (光文社新書)

わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 (光文社新書)

帯に受験に最適!とかの文句が書かれているように、受験生向けの本です。
というわけで、あんまり真面目に読まなかったのですが、面白いなあと思ったのは文脈による意味の引き出しの章。

 男は鏡の前に立ち、髪をとかした。剃り残しはないかと丹念に顔をチェックし、地味なネクタイを締めた。朝食の席で新聞を丹念に読み、コーヒーを飲みながら妻と洗濯機を買うかどうかについて論議した。それから、何本か電話をかけた。家を出ながら、子供たちは夏のキャンプにまた行きたがるだろうなと考えた。車が動かなかったので、降りてドアをバタンと閉め、腹立たしい気分でバス停に向かって歩いた。今や彼は遅れていた。

この文章を、男=「失業者」の文脈でみるか、男=「株仲介人」の文脈でみるかによって、意味が変わってくるというものです。
マトリクスにまとめたらこうなるらしい。

- 失業者 株仲介人
新聞の読んだ欄 求人欄 株式欄、政治経済欄
地味なネクタイ 面接のため それが日常
電話の内容 面接の約束 売り買いの指示、または勧誘
洗濯機の購入 しない する

同じ文章でも、見方(文脈)によって、これだけ意味が違ってきますよということ。
ビジネス文書では、誤解のないように意味を伝えないといけないので、こうした複数の解釈を許さないよう、書く必要があるということですね。言葉の定義が重要というのはもっともです。