ITコンサルの日常

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「多読術」読了

多読術 (ちくまプリマー新書)

多読術 (ちくまプリマー新書)

千夜千冊というサイトをやっておられる、まさに読書の達人、松岡正剛さんのインタビュー記録。


食読とか、多重感覚読書とか、複合読書法とか、とにかくいろんな言葉が出てくる。
特に印象的だったのは以下の箇所。

 本はいろいろな読み方をするべきで、つまりは平均的な読書を求めてもダメだということですよ。ゆっくり読んでもいいし、お茶漬けをかきこむように読んでも、何人かで感想を言いあうために読んだっていいんです。いや、むしろそのようにギアチェンジしてでも、多様な読み方をするべきですよ。それには、自分が読むときの読中感覚をイメージできるようにすることです。
 これらはメタフォリカル(比喩的)な言い方なので、なんとなくわかったような気になってもらうためのヒントなのですが、以上のことをわざとちょっと熟語っぽく言うとすると、たとえば次のようになりますね。「感読」「耽読」「惜読」「愛読」「敢読」「氾読」「食読」「録読」「味読」「雑読」「狭読」とか、また、「乱読」「吟読」「攻読」「系読」「引読」「広読」とか、それから「精読」「閑読」「蛮読」「散読」「粗読」「筋読」「熟読」「逆読」といったふうにね。それぞれどういう読み方か、想像してください。

まさにいろんな本を読んでいるからこそなのだろうなあと思います。


多読術の方法については、

ということをしたそうです。


具体的には、クロニクル・ノート(年表)を作成すること。

 読んでいる本に年号が出てきたら、その事項をこのノートに片っ端から書き込んだ。

また、引用ノートを作成すること。

 最初にノートを数冊用意して、そこに「論理のおもしろさ」「当初のイメージ」「イメージの分岐」「数学的表現」「エロティシズム」...といった項目をふっておくわけです。
(中略)
 で、本を読んだら、これらの項目にふさわしいフレーズやセンテンスをノートに写すんです
(中略)
 こうして、しだいに「引用ノート」が充実してくる。そうすると、これは本を一冊ずつ別々に読んでいるのではなく、いろいろな本のセンテンスやフレーズが別の「つながり」をもってきたということだということも見えてくるんですね。むろん「引用ノート」なのですから、ぼくが何かを書くときの引用にも使える。

などだそうです。
今だったら、電子化してもっと効率的に出来そうですよね。


もう一つ興味深かったのは、速読についての言葉。

 速読にとらわれるのがダメなんです。どんなテキストも一定の読み方で速くするというのは、読書の意義がない。それって早食い競争をするようなものですから。
 誰だって経験したことがあると思いますが、自分がとても関心のある分野の本の読書は、そうとうに速くなるものです。たとえばヨーロッパ旅行を初めてするときに、ロンドンやパリの旅行本を何冊も買ってきて見るでしょう。しばらくすると、それらの共通項や相互の違いを読みとる速度はかなり上がっているはずです。
(中略)
これは似た内容のものは速く読めるということで、それが本来の速読術なんです。

なるほど。目を速く動かしたり、ページを画像として捕えるとかいうのも、一種の速読法だとは思いますが、僕はこっちの考えの方が受け入れられそうです。
そうなると、一つの分野の本を一冊だけ読むのではなくて、数冊読むのが前提になってきますよね。


他にも読書に危険はつきものとか、次に読む本を見つけるには、図書館や本屋で並びを見るとか、まだまだ面白い話がたくさん載ってますよ。