「ダメな議論―論理思考で見抜く」読了
- 作者: 飯田泰之
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/11
- メディア: 新書
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なぜダメな議論に納得してしまうのかについては、こういう理由からのようです。
では、なぜ私たちは誤った見解や無内容な主張に納得してしまうのでしょうか?それは、私たちが他の人の意見を聞いて判断をする際の心の動きによると考えられます。社会問題についての言説に出会った時、私たちの内部で働いているのは論理やデータによって妥当性を確かめようという理性だけではありません。その意見が自分にとって都合がよいか、自分の気分に合っているかという打算と好悪の感情が必ず働きます。ある言説に対する態度を決めるに際して、このような感情の働きは、しばしば理性を上回る力を発揮します。
つまり、議論の根拠や裏付けよりも、自分の都合や気分の方が優先して、その議論の良し悪しを判断してしまうことがある。ということですね。
知らず知らずのうちに、自分に都合の良い情報だけ集めて、気分を良くし、消化した気になっているのかも知れない。
なんだか、投資行動は感情に左右されやすい。というのと似ているような気がします。
判断を感情に左右されないために、以下の5つのチェックポイントを用いて、議論の妥当性をチェックせよとのことです。
- 定義の誤解・失敗はないか
- 無内容または反証不可能な言説
- 難解な理論の不安定な結論
- 単純なデータ観察で否定されないか
- 比喩と例話に支えられた主張
具体的にどういうチェックなのかは、本書内に書かれていますが、
具体的に過去に行われた議論
- 「最近の若者」批判
- ニート問題への根本対策
- 世界一高い日本の物価
- 非常時に備え、食料の確保を
- 財政危機と肥大化する政府
- バブル経済の罪と罰
- 日本経済を鍛え直す
- 国際競争力の低下と日本の危機
- 不況によって得たものは
- 本来の姿へ戻ることから、すべてが始まる
に対して、5つのチェックポイントを使って妥当性チェックを行っているので、理解しやすくなっています。
とはいえ、常にこの5つのチェックポイントを使って理性的に物事を判断していくには、個人的にはそれなりの訓練が必要だろうなという印象です。
毎日新聞を読むときに、この5つのチェックポイントを意識しながら読めるようにしていきたいです。