「ヴェネツィアの宿」読了
- 作者: 須賀敦子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1998/08
- メディア: 文庫
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時代がバンバン飛んでしまって分かりづらいし、椎名誠のようなエンタテインメント性があるわけではなく淡々とした語り口で進むので、ちょっと途中で飽きてしまいました。
当時(1950年代、60年代)として多分珍しかったと思われる海外で暮らす生活について色々書かれていて、そういうのを志す人とか、あるいは単純に海外が好きだっていう人にもおすすめかもしれません。
海外で暮らしていけるだけの語学力があるというのは、純粋にうらやましかったです。
後半に出てきた、ドイツからフランスに留学にきた、カティア・ミュラーという人のエピソードが印象に残っていて、
ゆっくり本を読んだり、人生について真剣に考える時間がほしかったので、仕事をやめてフランスに来た、
...
しばらくパリに滞在して、宗教とか、哲学とか、自分がそんなことにどうかかわるべきかを知りたい。いまここでゆっくり考えておかないと、うっかり人生がすぎてしまうようでこわくなったのよ。
...
そういうことをするためには、自分の国をはなれたほうがいいと思って、パリに来ることにしたの。
自分の国をはなれたほうが...のくだりは、当時は大戦後まもなかったという背景があったりもします。
海外に出ることが自分の人生を見つめ直す手段となり得るかどうかは、人それぞれだと思いますが、こういうことが出来たらいいなと思っている人は今でも結構いるでしょうね。
その辺は今も昔も変わらないなと思いました。