「若き数学者のアメリカ」読了
- 作者: 藤原正彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1981/06/29
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これからアメリカに行って何かをしようという人には、かなり役立つと思います。
「英語が通じるだろうか。。」といった不安や心細さから始まり、日本人であることを意識しすぎてなかなかアメリカという国に溶けこめなかったのが、段々とアメリカに融合していく様は、読んでいてかなり面白かったです。
アメリカコンプレックスみたいなものは、やっぱりあるものなのですね。
パールハーバーに行ったシーンは、露骨に愛国心と反骨心が出てて面白かったです。
あと、ラスベガスのシーンね。
どっぷりハマってましたが、分かるなあ。
ギャンブルはほどほどにね。と。
興味深かったのは9章の
彼ら(アメリカの学生)が日本の学生に比べて知識においてはかなり見劣りするのに、精神的にははるかに成熟しているように思われるのは、面白い現象だ。
...
この差が教育によるところは明らかである。どちらの教育にも一長一短はあるが、一つだけ感ずることは、知識というものは、必要になれば学校で教わらなくとも自然に身についてくるものであるのに反し、論理的な思考方法とか表現方法は、若い時に身につけないと後になってはなかなかむずかしいということだ。
というところ。
なんとなく今でもそういう傾向にあるように思いますが、教育による差だけではなくて、人種のるつぼアメリカと単一民族日本の違いも大きいのではないかと思います。
先日、医療現場への外国人労働者受け入れがニュースになってましたが、
外国人労働者受け入れ…生活できる仕組み必要の記事に書かれているように、
「世界から高度人材の受け入れを」「『海外に出る国際化』だけでなく『迎え入れる国際化』を」
「迎え入れる国際化」って重要じゃないかと思うのです。
若い頃からいろんな人(まあ、日本人の中にもいろんな人いますが、もっと広い意味で)と接触すれば、いわゆるマッチョも増えるのではないかなあと思います。
「ヴェネツィアの宿」も日本人が海外で活躍する物語でしたが、僕的にはこちらの方が読みやすかったです。おすすめ。