「ゲーテとの対話」読了
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上と中は、エッカーマンがゲーテと出会ってから、ゲーテが亡くなるまでの対話。
下は、エッカーマンの日記に対して、同じくゲーテと親交を深めたソレ氏の原稿で補ったもの。
「対話」と題名にある通り、エッカーマンとゲーテを中心とした、意見交換や議論が中心となっている。
正直なところ退屈する場面も多かったが、ゲーテの名言を見つけることが、本書を読む上での一つの楽しみになるのではないかと思う。
あと、「ファウスト」の話が頻繁に出てくるので、これを先に読んでおくと良いのかも知れない。
そんなわけで、僕の心に残った言葉をいくつか引用してみます。
性に合わない人たちとつきあってこそ、うまくやって行くために自制しなければならないし、それを通して、われわれの心の中にあるいろいろちがった側面が刺激されて、発展し完成するのであって、やがて、誰とぶつかってもびくともしないようになるわけだ。
「われわれは、朝起きたときが、一番賢明である。が、また、一番心配も多い。というのは、心配はある意味で賢明と同義だ。それは、受け身の賢明さだろうが。愚者は、けっして心配をしない。」
「すでにヴィーラントはこのことをじつによく知っていた。というのも、彼はいつも口ぐせのようにいっていたからね、人を楽しませることができるのは、その人が楽しいときだけだろう――とね。」
「とにかくドイツ人というのは、奇妙な人間だ!――彼らはどんなものにも深遠な思想や理念を探しもとめ、それをいたるところにもちこんでは、そのおかげで人生を不当に重苦しいものにしている。――さあ、もういいかげんに勇を奮って、いろんな印象に熱中してみたらどうかね。手放しで楽しんだり、感激したり、奮起させられたり、また教えに耳を傾けたり、何か偉大なものへ情熱を燃やして、勇気づけられたらどうかね。しかし、抽象的な思想や理念でないと一切が空しい、などと思いこんでしまってはいけないのだ!」
「だから、私がすすめたいのは、けっして無理をしないことだ、生産的でない日や時間にはいつでも、むしろ雑談をするなり、居眠りでもしていたほうがいいよ。そんなときにものを書いたって、後で、いやな思いをするだけだからね。」
子供のばあいですら、一冊の本や芝居が与える影響はそれほど心配する必要はないね。日々の生活のほうが、今も言ったとおり、どんな刺激的な本よりも影響が大きいよ。
読む人によって、名言と感じる言葉は違うでしょうから、本書を宝探しのごとく読んでみると面白いかも知れません。