「わかったつもり 読解力がつかない本当の原因」読了
- 作者: 西林克彦
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2005/09/20
- メディア: 新書
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というわけで、あんまり真面目に読まなかったのですが、面白いなあと思ったのは文脈による意味の引き出しの章。
男は鏡の前に立ち、髪をとかした。剃り残しはないかと丹念に顔をチェックし、地味なネクタイを締めた。朝食の席で新聞を丹念に読み、コーヒーを飲みながら妻と洗濯機を買うかどうかについて論議した。それから、何本か電話をかけた。家を出ながら、子供たちは夏のキャンプにまた行きたがるだろうなと考えた。車が動かなかったので、降りてドアをバタンと閉め、腹立たしい気分でバス停に向かって歩いた。今や彼は遅れていた。
この文章を、男=「失業者」の文脈でみるか、男=「株仲介人」の文脈でみるかによって、意味が変わってくるというものです。
マトリクスにまとめたらこうなるらしい。
- | 失業者 | 株仲介人 |
新聞の読んだ欄 | 求人欄 | 株式欄、政治経済欄 |
地味なネクタイ | 面接のため | それが日常 |
電話の内容 | 面接の約束 | 売り買いの指示、または勧誘 |
洗濯機の購入 | しない | する |
同じ文章でも、見方(文脈)によって、これだけ意味が違ってきますよということ。
ビジネス文書では、誤解のないように意味を伝えないといけないので、こうした複数の解釈を許さないよう、書く必要があるということですね。言葉の定義が重要というのはもっともです。