ITコンサルの日常

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「食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字 〈上〉」読了

食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字 〈上〉 (光文社新書)

食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字 〈上〉 (光文社新書)

かの有名な(?)「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」の著書が書いた本です。
1時間で読めて一生効果がつづく「数字&会計の入門書」とのことで、「今日からでも数字をうまく使っていきたい」人や、「数字の見方がわかるようになりたい」人のために書いてあります。とのことです。


この本の特徴と言ってもいいのではないかと思うのですが、説明に使う例がとても面白いのです。
電車で読んでて思わずくすっと笑ってしまうものもあります。
例えば、

 ある朝、私のものとに一通のメールが届きました。
 「今夜6時53分に渋谷ハチ公前集合。時間厳守!」
 友人の石田くんが幹事を務める飲み会のお知らせだったのですが、このメッセージ以外、なにも書かれていませんでした。
(中略)
 1分でも遅れたら、おいていくぞ!
 と石田くんが言外に叫んでいる気がしてなりません。
(中略)
 なんのことはない。これは、待ち合わせに遅れないようにするための、石田くんの策略だったのです。
 つまり、わざとハンパな時刻にすることで、「その時刻に何か意味があるのではないか?」「遅れたら、二度と合流できないのではないか?」と思わせ、遅刻させないようにするためのテクニックだったのです。

とか。
半端な数字といえば、本書中でも出てくるスーパーの198円とか、テレビ欄とかが思いつきますけど、
やっぱり半端には半端なりの理由があるのですよね。
あと、

 若者は3年では辞めない?
 まず、『若者はなぜ3年で辞めるのか?』につい¥てですが、この「3年」という数字にはどういう意味があるのでしょうか。
 人事の世界では、「3年で3割の人が辞める」ということが半ば定説化しているそうで、そこに根拠が求められるようにも思えますが、「すぐに辞めてしまう」という意味でいえば、「2年」でも「4年」でもたいした差はありません。
(中略)
 いや、むかしから若者の離職率は「7・5・3」(入社5年後の離職率は、中卒で7割、高卒で5割、大卒で3割)だといわれていることを考えると、『若者はなぜ5年で辞めるのか?』『若者はなぜ3割が辞めるのか?』というタイトルのほうがふさわしかったかもしれません。
 つまり、「3年」という数字には、なにか必然性があるようで、実はあまりないのです。
(中略)
 とにかく数字が入っていれば、あとは読者が「その数字にはなにか特別な意味があるのでは?」と勝手に推測してくれる――その「深読み」こそが、編集としてのねらいだといいます。

編集としてのねらいって、随分荒っぽいものだなあとか思うわけですが、数字を潜在的に意識させられてるのだなあということが分かります。逆にいえば、数字を使って誰かに何かを意識させることも可能なわけですよね。
表現のひとつとして、数字を使えるということです。


数字を使う効用は二つあるようです。
一つ目は、「数字は信用の発生装置」です。

 「ビタミンCがたくさん入っています」と「レモン1000個分のビタミンCが入っています」では、どちらのほうが信用度が高いでしょうか?

よくビジネス文書で、定量的に表現しろとか言われるやつですね。
もう一つは、「数字の暴力性」です。

 しかし、数字は絶対的であるがゆえに人に恐怖を与えることがあります。
 「ノルマは一日50軒訪問」「60点以下は再試験」「10位以内に入らないと引退」などという表現は具体的であるがゆえに、人に猛烈なプレッシャーを与えるのです。
 これが、「ノルマはたくさん訪問」「できなかったら再試験」「売れなかったら引退」なら、まだゆとりがあり精神的にもきつくありません。

なんだかとっても数字を使ってみたくなってきました。
数字を使うコツは、「99%の意識と1%の知識」だそうです。
明日から数字を意識してみようと思います。