「プレゼンテーション Zen」読了
- 作者: Garr Reynolds,ガー・レイノルズ,熊谷小百合
- 出版社/メーカー: ピアソン桐原
- 発売日: 2009/09/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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プレゼンテーションのアプローチ(進むべき道や方向、心構え、哲学など)を示す。
読後感は、「ああ、俺は今までなんてプレゼンテーションをやってきてしまったんだ。。」
という罪悪感にさいなまれるような感じです。
そして、何でもいいからプレゼンテーションのスライドを作ってみたいな、なんて思ったりもしました。
まあ、別に作る必要に迫られているわけではないのですが。。
本書は、
- イントロダクション
- 準備
- デザイン
- 実施
- 次のステップ
の五部構成になっています。
イントロダクション
「PowerPointのお粗末な現状」とか「PowerPointは有害だ」とか
「プレゼンテーションにPowerPointを使うのは大間違いだった。
あんなものは捨て去るべきだ」
――ジョン・スウェラー
とか、かなりの勢いでPowerPointがdisられていくのですが、
まとめには、
ツールの良し悪しは確かにあるが、たとえ旧バージョンのPowerPoint(もしくはKeynote等)を使ったとしても、効果的なプレゼンテーションを行うことは可能である。
と書いてある。
つまり、ツールが悪いのではなく、
一般的に、プレゼンテーションの効果が上がらないのは、プレゼンターに知性や創造力が欠けているからではない。それは悪い習慣が身についているからであり、どうすれば素晴らしいプレゼンテーションを生み出せるのかに関して自覚や知識が欠けているからである。
とのことです。
準備
- いきなりスライドを作るのではなく、まずはアナログ式にたくさんのアイデアを集めること
- 2つの問い:「何が言いたいのか?」「なぜそれが重要なのか?」を明らかにすること
- 聞き手が見るスライド、話し手が使うメモ、復習のための配布資料は分けること
- ストーリーを構成し、骨組みとなるスライドを作成すること
などが書かれています。
よくPowerPointをそのまま印刷して配布資料にしている風景を見かけますが、ダメなんですね。
その理由は、以下の引用から。
「スライドをそのまま印刷したものを配ることは、絶対に避けるべきだ。
まして、プレゼンテーションの前に配布するのはもってのほかである。
それは命取りになる。本質的に、スライドとは「スピーカー支援」機器である、
話し手である「あなた」をサポートするためにそこに存在している。
スライドは単体では成立しないものであり、
それを聴衆に配ることは無意味である。それは間違いなく注意の妨げになる。
逆に言えば、もしスライドが単体で成立するとしたら、
あなたが前に立っている必要などないではないか?」――デヴィッド・S・ローズ
確かにそうなんですよね。
だから、スライドには説明を詰め込んではいけない、
説明はスピーカーが行う、スライドはあくまでそれを支援する
という位置づけでなければならないわけですね。
デザイン
シンプルであることの大切さと題して、
私の言うシンプルさとは、怠惰や無知に由来するものではなく、物事の核心を突く明快さを切望する知性に由来するものだ。シンプルであることは簡単ではない。実際、それは至難の業である。
と書かれています。
多分、上で書いた「何が言いたいのか?」「なぜそれが重要なのか?」をストレートに伝えるために、
シンプルさが要求されるのではないかと思います。
そして、さらにデザインへと話が進みます。
どちらかと言えば、デザインは「足し算」というより「引き算」である。ビジュアルに関しては、情報を盛り込み過ぎるのも、減らし過ぎるのも、望ましいことではない。しかし、概して我々は情報を盛り込み過ぎる傾向にあり、結果的にごちゃごちゃした分かりにくいビジュアルを生み出してしまう。
これも、シンプルに通じる話なのではないかと思います。
デザインには7つの一般原則がある
- シグナル/ノイズ比
- 画像優位性効果
- 余白
- コントラスト
- 反復
- 整列
- 近接
ここはかなり図解入りで丁寧に説明されているので、本を読んだ方が良いと思います。
実施
ここはプレゼンテーションを行う際の心構えが書かれています。
スティーブ・ジョブズのプレゼンテーションがあれほど素晴らしく、魅力的なのは、彼とそのチームが凄まじいまでの準備や練習を重ね、いとも「簡単」に見えるように努力しているからなのだ。
やっぱり練習大事ってことですよね。
次のステップ
もし次のスピーチでスライドを使うことに決めたのなら、「抑制」、「シンプル」、「自然さ」といった原則を参考にしながら、プレゼンテーションのデザインと実施を行うことを目指そう。プレゼンテーション向上への道のりを大いに楽しんでほしい。
ほんと、プレゼンテーションをする必要がある営業さんとか、差別化を図る意味でも、本書は必読でしょう。
読んで良かったと思える本でしたね。