ITコンサルの日常

ITコンサル会社に勤務する普通のITエンジニアの日常です。

「3年で辞めた若者はどこへ行ったのか」読了

3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代 (ちくま新書)
3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代 (ちくま新書)

どこで見つけたか

普通に本屋で見つけた。
著者のブログで「若者はなぜ3年で辞めるのか?」の続編であることは知ってました。
著者ブログ Joe's Labo

概要など

昭和的価値観に従わず生きる人たち(=アウトサイダー)の仕事や人生観を紹介する本。


第一章 キャリア編では、年功序列のレールから外れて、ビジネスエリートになった人たちの紹介。
第二章 独立編では、企業以外に目的地を見出した人たちの紹介。
第三章 新世代編では、時代や環境の変化によって、新しい世代に根付いた価値観の紹介。

印象に残ったところなど

IT業界の人間としては、当然、
昭和的価値観4「IT業界は3Kであるということ」
は気になるところですが、

「そういう意味では、日本のIT企業は、モノ作りより人材派遣業と言ったほうが近い。リスクのある開発よりも、仕事を請け負い、SEを派遣することで安定した利益を得ようとする。モノを作りたくて作った会社が、いつの間にか会社を維持するための会社になってしまっているんです」

こうズバリと言われては身も蓋もないなあ。。
まあ、IT業界といっても色々で、例えば、はてなみたいな会社は(想像するに)モノ作りを大切にしているでしょうが、
僕がやっているような企業向けのカスタムシステム開発とかだと、人材派遣業そのものでしょうね。
「SEを派遣することで安定した利益を得」られるかというと、昨今の不況により価格競争が激化していて、
そうでもなかったりしますけどね。


団塊ジュニアとして見過ごせなかったのはここ。

 こうして日本の労働者には、三つのヒエラルキーが成立することとなった。まず最上位に位置するのは、かつての定期昇給の恩恵を受け、20代の2倍以上の基本給を手にする中高年正社員だ。
(中略)
 次に、入社以来、定期昇給を知らない団塊ジュニア以降の正社員が続く。彼らは昇給昇格に厳しいハードルが課され、50過ぎまで昇給し続けた先輩世代と比べれば、生涯賃金で少なくとも3割は減るはずだ。たとえば、大卒総合職で課長以上に昇格できるのは、既に4人に1人というデータもある。かつて冷やかし言葉だった万年課長という言葉は、いまや褒め言葉なのだ。
 だが問題なのは、三つ目の階層、つまり新しく作られた非正規雇用労働者だ。
(略)

まさに僕は団塊ジュニア世代なわけですが、このままやってても賃金上がらんよなあ。
まあ、だらだら現状維持っていうのもあるんですが、
一念発起して外資系とかのキャリアアップを目指すもよし(ないかなあ)、
多少(だいぶ?)賃金が下がったとしても、やりたいことを目指すもよし(やっぱりないかなあ)
ってとこでしょうか。


なんにしても、こんな未来だけは避けたいところ。

90年代、既得権者の都合で新しく生み出された彼ら非正規労働者は、このまま行けば、おそらく「無資産・無住居・無職」という状態で、60代に突入するはめになる。仮に彼らが65歳まで仕事にありつけたとしても、その後、月6万円程度の基礎年金だけで生活できるとはとても思えない。もしこのまま何の抜本的解決もされず、(たとえば最低時給100円引き上げというような”ガス抜き政策”でお茶を濁せば)、ホームレスに転落する可能性はけして低くはないはずだ。

なんでこんな未来の心配ばっかりしなきゃいけないんだろ。
頭の中が仕事で一杯の状態じゃないと、色々考えちゃうからかな。