「新しい人よ眼ざめよ」読了
- 作者: 大江健三郎,鶴見俊輔
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1986/06/09
- メディア: 文庫
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障害を持つ長男イーヨーとの「共生」を、イギリスの神秘主義詩人ブレイクの詩を媒介にして描いた連作短編集
このブレイクが分らないので、正直なところ、かなり難解な印象を受けたのですが、
「共生」という部分については、かなり心打たれるものがあります。
苦しみや葛藤が大部分を占めるなかで、イーヨーが音楽の才能を発揮して舞台音楽を作るところと、
終わりごろに出てくる、以下の節に救われる。
――サクちゃんが、今日クラブを終えて帰ってきてすぐね、イーヨーが寄宿舎に入ったら、自分たちはあまり笑わなくなるだろう、といった。イーヨーが滑稽なことをするからみんなが笑ってきた、というのじゃなくて、なんでもないことでもイーヨーが、みんなが笑うように元気をつけてきたんだと、サクちゃんはそういっていたわ。
――確かにね、と僕もイーヨーの弟の説明づけに同意したのだ。われわれの家庭につねづね祝祭の雰囲気があrのは、祝祭の道化であり、かつ祭司でもあるイーヨーがいてのことだから。