ITコンサルの日常

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「経済は感情で動く―― はじめての行動経済学」読了

経済は感情で動く : はじめての行動経済学

経済は感情で動く : はじめての行動経済学

 経済の問題になると、私たちは一杯食わされることが少なくない。漫画のチャーリー・ブラウンは赤毛の女の子に出会うとぽっとなって思考が停止してしまうが、私たちの頭も「熱くなってぽっとする」ことがたびたびある。お金を節約したり使ったり投資したりする段になると、私たちの頭は、経済学の本に良くある数学的モデルのような、「効用最大化」の合理的な計算機ではなくなってしまう。それどころか、私たちがどこへ行くにもついてくる、両耳のあいだにはさまれた特別製のコンピュータは、プロセッサーがやけに鈍くて、記憶力は頼りにならず、欠陥を想像以上に内蔵している。それだけではない。私たちは日々の暮らしの中で、喜び、不安、怒り、羨望、ねたみ、嫌気といったいろんな感情を体験するが、何かを決める段になるとそれらがしゃしゃり出てきて、計算とは大違いの結論を出せと迫る。

さすがに最近はカネがないのであんまりないですが、なんでこんなもん買っちまったんだってのは日常だったりしますよね?なぜそうした経済行動を取ってしまうのかを、クイズ形式を交えながら解説してくれるのがこの本です。


たとえばこんな設問。

問47
どちらかを選んでください
A すぐに1,000ドルもらう。
B 一週間後に1,100ドルもらう。

問48
どちらかを選んでください
C 1年後に1,000ドルもらう。
D 1年1週間後に1,100ドルもらう。

「多くの人がはじめの質問ではAを選び、あとの質問ではDを選んで、一貫していない。」だそうだ。
冷静に文章を読んでいる身からすれば、そんなバカなと思うかも知れないが、
実際にこれと同じような選択を日ごろしているのかと思うと、なんとも言えません。
逆に、商売をする人は、これを逆手に取らないといけないわけですよね。


でも、経済が「感情」じゃなくて「勘定」で動いたら、どういう世界になるのだろう。
一切のダマシもない代わりに、消費が冷え込んで、経済が不活性になるような気がします。
そういう意味では「経済は感情で動」いている方が良いのかも知れません。


「アンカリング効果」や「プロスペクト理論」などの用語についても、解説されているので、
面白くも役立つ本と言えるでしょう。