ITコンサルの日常

ITコンサル会社に勤務する普通のITエンジニアの日常です。

「上司は思いつきでものを言う」読了

上司は思いつきでものを言う (集英社新書)

上司は思いつきでものを言う (集英社新書)

タイトル買いです。
要旨はここらしい。

 部下の建設的な提言に対して、上司が必ず勝手な思いつきをかませるのは、上司のいるところと現場とが、隔絶して乖離しているからです。私は、それが日本の会社のあり方と関わるものだと思うので、「必ず」と言って、「サラリーマン社会の組織的問題だ」と言うのです。

  • ×現場を受け入れる=上司である自分を否定する
  • ○思いつきでものを言って、なんとか現場を否定しようとする=上司である自分を肯定する

みたいなことらしい。
見苦しいものですね。。


なぜ、「上司のいるところと現場とが、隔絶して乖離して」しまうのかは、

 現場を制した会社は順調に利潤を上げ、利潤が得られ続ける限り、この会社と現場との間に分裂は無いと言うことです。
 そういうことが一方にあって、しかし、会社の規模は大きくなって行きます。それはつまり、会社というものの骨格を作る「上司のピラミッド」が大きくなるということです。「上司のピラミッド」は裾野を広げ、高さを増し、その結果、「現場から遠い上司」の数を増やして行きます。

あるいは、規模が大きくなるにつれ、総務、人事、経理などの直接現場とは関係のない、間接部門が必要になってくるからだとも読み取れます。


そして、

 会社は「利潤を得ること」を目的とするもので、それゆえに、たやすく大きくなる。「大きくなる」というそのプロセスの中に、既に会社の抱えるべき「問題」は宿っていて、その「問題」があらわにならないように、好景気の大波は待望されている。
(中略)
「会社には”大きくなる”という動機に歯止めをかけるものがない」――これが、会社というものが抱える根本の問題なのです。

ということから、「上司のいるところと現場とが、隔絶して乖離して」しまうのも、必然と言えるようです。


あと面白かったのはこの部分。

 果たして、「正しい上司と愚かな部下」という組み合わせはあるでしょうか?
 「そりゃあるさ、大いにあるさ」と言いたい方はいくらでもいるでしょう。しかし、これは間違いです。どうしてかと言うと、部下を愚かなままにしておく上司は、「いい上司」でも「正しい上司」でも「賢く正しい上司」でもないからです。部下の愚かを野放しにしておくのは、「愚かな上司」です。「愚かな上司と正しい部下」の組み合わせはあり、「愚かな上司と愚かな部下」の組み合わせもあって、「正しい上司と愚かな部下」というペアはないのです。

まあ当然、「正しい上司と正しい部下」の組み合わせが最善ということなのでしょうけど。


この、「正しい上司と愚かな部下」には身近に覚えがあって、多分自分では正しいと思っているとある上司の人が、とある部下に対して、毎日飽きもせず指導をねちねちやってるわけですが、正論を吐いているように見えて、実は、思いつきでものを言っているのかも知れませんね。
まあ、俺も人のことは全く言えない立場なんですが、反面教師にしてがんばりたいと思います。