「飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ―若き医師が死の直前まで綴った愛の手記」読了
飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ―若き医師が死の直前まで綴った愛の手記 (祥伝社黄金文庫)
- 作者: 井村和清
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2002/06
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 56回
- この商品を含むブログ (19件) を見る
人生は生まれてから死ぬまでの時間であり、その時間をいかに有効に使い、いかに多くの人々によい影響を及ぼしえたかである。
ショーペンハウエルは、私たちはやや長い執行猶予を与えられた死刑囚のようなものだ、と書いています。その通りで、私たちはやがてひとり残らず死刑の執行を受ける。ひとりとしていつまでも生き永らえる人はいません。
こうした言葉は何かの機会の度に耳にしているような気がするのですが、にも関わらず無為に日々を過ごしてしまうことが多々あります。
それは、こうした言葉を忘れてしまうこともありますが、
ですのに、この死刑囚たちは、まるで自分だけは刑の執行を免除されるかのように気楽で、自分の死について、ほとんど考えようとはしないのですから不思議です。
ということなのでしょうね。
もうひとつ印象的だったのはこの一節。
わがままな患者に対して腹を立てていた筆者に対して、マクリーン先生が言った一言。
「He is sick, you are not sick」(彼は病気だが、あなたたちは病気ではない)
患者さんの心を、健康な人間のモノサシで測ってはいけないよ。印象深い言葉で、いまも忘れられません。
sickのところを入れ替えれば、色々なコンテキストに適用できそうな言葉ですね。