「本を読む本」読了
- 作者: J・モーティマー・アドラー,V・チャールズ・ドーレン,外山滋比古,槇未知子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1997/10/09
- メディア: 文庫
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「若いときに読んでおけば良かった」なんてフレコミで売っているもんだから、煽られて買ってしまいました。
まず、これは第1版が1940年に米国で発行された訳本なんですが、原題が「How to Read a Book」に対して、邦題が「本を読む本」ってこれ秀逸ですね。直訳すれば「本の読み方」なんですけど、そんなナンセンスなことしなかったってのが、なんと言ってもいいです。
それにしても、「学問のすすめ」とか「自助論」もそうですが、長年の時を経てもなお読まれる本っていうのは、もっと読むべきだと思います。
さて、例によって気になるところをピックアップしていきます。
p16 「読む」という行為には、いついかなる場合でも、ある程度、積極性が必要である。完全に受け身の読書などありえない。
そこがテレビやラジオと違うところなのでしょう。ということは、一見インプットのみしているようで、きちんと読書している人はアウトプットも兼ねているということなのかな。
p25 学校を出てから教養を身につけようとすれば、たよるものは教師のいない読書だけである。
今ではインターネットっていうのもありますが、オフラインで読書会が行われているように、何かを身に付ける手段として、読書が依然として有力であることは否定できないでしょう。
p28 読書には四段階ある。「初級読書」「点検読書」「分析読書」「シントピカル読書」
僕がたくさん本を読む中で、さらっと読む本と、じっくり読む本の二種類があるなあと感じていたのですが、ここではそれぞれ「点検読書」と「分析読書」という分かりやすい言葉で表現してくれました。
この本は、まさにこの読書法(主に分析読書)について詳しく述べることに、ページのほとんどを費やしている。
p30 書物には味わうべきものと、呑みこむべきものとがある。また、わずかだが、よくかんで消化すべきものもある
だから、本を読むにもこの判断が重要で、呑み込むべきものに時間をかけてもしょうがないし、よくかんで消化すべきものを呑み込んでしまってもしょうがない。
「点検読書」によって、その判断を行うのだそうです。でも筆者いわく、ほとんどは「分析読書」には値しないのだとか。僕にはそうは思えませんが。。
p45 ついうとうととして、はっと目が覚め、読んでいたことが何もわかっていないことに気づく。
あるある!
思わずにやりとさせられてしまいました(汗
p56 読みながら質問する「習慣」は、意欲的な読者のしるしである。さらに、読み手は、その質問にきちんと正確に答えるすべを知る必要がある。
意欲的な読者になるには。の答えがこれらしい。ついうとうとしてってこともなくなるらしい。
p90 良い本は良い家と同じく、部屋が秩序をもって配列されている。
この本自体が良い例なのかも知れませんが、
「本の読み方」という主題があって、その読み方には4種類あって、その種類ごとはこれこれこうである。というような完全な木構造を成しています。
これなら、どこを読んでいても迷子になることはないですよね。
「点検読書」のところに書いてあったと思うのですが、その構造を知るには目次が一番だそうです。目次の無い本(いまどきあるか?)はダメっちゅうことですね。また、目次があっても秩序がないものはやっぱりダメということで、これから本を選ぶときには目次を良く読むことにします。
p136 「自分の言葉で言いかえてみる」、文中の命題が理解できたかどうかを判断するには、これが一番良い方法である。
読みながら自問自答しつつ、自分の言葉で言いかえてみるというわけですか。
p137 一般的真理を具体的な経験に即して、あるいは、あり得る場合を想定して、例証することができるだろうか。
読みながら自問自答しつつ、自分の言葉で言いかえてみつつ、具体例を挙げて証明してみるわけですか。技術書を読むときは、実際に手を動かして試してみたりしているわけですから、ある意味例証していると言えるのではないかと思います。
p146 「批評の努めを果たして、つまり判断を下してはじめて、積極的読書は完了する。」
内容の分析や解釈を行うだけでなく、「良い」「悪い」「わからない(もう一回読もう)」という評価を本に与えることを指すようです。
今まで本を読んで、小説だったら面白かったとか、そうでもなかったとか、いい加減な感想は書いてましたが、ビジネス書とか技術書に対しては、評価はあんまりしなかったなあ。今度からするよう意識してみよう。
p199 ある小説のどこが好きか、と聞かれて黙りこんでしまう人がよくいる。
私のことです(汗
p199 小説のどこが好きか説明できない人は、おそらく本の字面をなでただけで、その下にあるものを読みとっていないのだ。
むー、なるほど。
p209 小説の読み方
- 小説は、一気に読むものである。
- 作品に没入して読みふけること。
辺りが大事らしい。なんか出来てる気がする。
p244 シントピカル読書について
イマイチ理解できなかったのですが、僕なりの解釈は、
「初級読書」「点検読書」「分析読書」は、本から知識を得るという意味では、プル型なのに対し、
「シントピカル読書」は、同一ジャンルの本をいくつも並べて、自分の知識をぶつけていくみたいなイメージで、プッシュ型みたいなものかなと思ってます。
p251 二流の本は、再読したとき、奇妙に色あせてみえるものである。もっとすぐれた本の場合は、再開したとき、本もまた読者とともに成長したようにみえるものだ。
実際には本が色あせたり、成長したりすることはないので、読者である自分自身の変化ということなのでしょう。一度読んだきりになっている本も、今読んだらまた違うように見えるのであれば、再読してみるのも手ですね。(お金もかかりませんし)
まとめ
小説の読み方は今のままで良いとして、その他の教養書(ビジネス書や技術書など)は、本の構造を意識した読書をするといいかもと思いました。
技術書は、今まで通り必要なところは手を動かして理解に努めることとして、ビジネス書はどう内容を自分に落とし込むかというところですが、「読みながら自問自答しつつ、自分の言葉で言いかえてみつつ、具体例を挙げて証明してみる」のでしょうね。ここも意識できると良さそうです。(難しそうですが)
いっぱい本を読んでいるせいか、自分なりの読書スタイルみたいなものがあったのだなあと思う反面、こういう体系だって説明して本を読むと足りないところにも気づきます。
これから本を読む機会が多い方には、是非一読していただきたい本ですね。